航空性副鼻腔炎
航空機の降下時に生じる顔面痛は、航空性副鼻腔炎の可能性があります。
適切な診断と治療により再発を予防しましょう。
航空性副鼻腔炎とは?
航空機の搭乗中気圧の急激な変化に対応できず、副鼻腔内と外気圧の間に圧格差が生じることにより、鼻や副鼻腔(顔面)の炎症と痛みを生じる疾患を航空性副鼻腔炎といいます。高層ビルのエレベーター降下時や天候の変動(天候の悪化)により同様の病状になることもあります。
原因と治療
原因として感冒罹患、アレルギー性鼻炎、急性鼻副鼻腔炎、慢性鼻副鼻腔炎、鼻副鼻腔の形態異常(鼻中隔彎曲症や鼻甲介蜂巣)、鼻ポリープなど鼻・副鼻腔内に炎症があり、副鼻腔の自然孔周囲の粘膜が腫脹している場合に生じやすくなります。
痛みはほとんどの場合、降下時に生じます(図1)。
気圧の高い地上から気圧の低い上空に上昇する際は、鼻・副鼻腔の粘膜に腫脹があっても空気は抜けていきます。
気圧の低い上空から気圧の高い地上に降下すると、気圧が高まる分空気が副鼻腔内に入ろうとしますが、自然孔周囲の粘膜が腫脹している場合、チェックバルブのようになりその圧により閉鎖することがあります。そのまま降下し地上に降りる最中顔面が痛みます。これはかなり強い痛みです。
その後空気が抜ければ痛みは和らぎますが、炎症が残った場合、急性副鼻腔炎を併発します。
治療は残存した急性副鼻腔炎の治療になります。またその原因疾患を治療しないと飛行機に乗る度に同様の症状を伴うことがあります。
慢性疾患であるアレルギー性鼻炎や慢性鼻副鼻腔炎や鼻腔形態異常をもち、搭乗する機会の多い方は、その疾患の根本治療が必要になります。搭乗する機会の少ない方より、内視鏡下鼻・副鼻腔手術などの手術適応も広くなります。
全日空(ANA)の社医を長年勤めた松脇由典医師は、航空性副鼻腔炎の治療経験も多く、的確な診断のもと治療だけでなくその再発防止にもアドバイスいたします。
手術適応の場合も元々は炎症が少ない副鼻腔の場合が多く、低侵襲の内視鏡下鼻・副鼻腔手術により短期滞在(1日入院、1泊2日)が可能です。
搭乗する機会が多い方は、是非ご相談ください。